殺虫剤について

ピレスロイド系殺虫剤とは?

蜂の駆除において一般的に使用される殺虫剤の成分でピレスロイド系というものが存在します。
このピレスロイド系という成分は現在市販されている殺虫剤の約90%に使用されている代表的なものであり、
もともとは天然の「除虫菊」から抽出された「ピレトリン」という除虫成分を元に科学的に合成された人工の化合物です。
その合成して作られたピレスロイドという成分は様々な害虫に対して効果を発揮するよう度重なる改良を重ねられ、いくつもの類似の作用を持つ成分が作られました。これらを総称してピレスロイド系と呼びます。
これらピレスロイド系の殺虫成分を判別する方法としては名称の語尾に全て「リン」が付きます。

蜂駆除に使用されるピレスロイド系で代表的なものをいくつかご紹介します。

  • フタルスリン     特に即効性に優れ、ノックダウン効果が高い
  • レスメトリン     残効性は弱いが致死性に優れる
  • シフルトリン     致死効果が高く残効性に優れる
  • モンフルオロトリン  ノックダウン効果が極めて高く、素早く動きを止める
  • シフェノトリン    即効性、残効性に優れる
  • トランスフルトリン  揮発性が高いため拡散性に優れる
  • イミプロトリン    即効性に優れ、特にゴキブリに対し高いノックダウン効果がある


いずれの成分もアリやゴキブリ蚊や蜘蛛などを駆除するために改良・開発されたものであり
蜂を駆除するために開発されたピレスロイドというものは存在しませんが、蜂の駆除では効果的と思われるピレスロイドが選択され使用されています。
たとえば蜂にスプレーした際、使用者が刺されることがないよう素早く蜂をノックダウンさせる必要があるため、
ノックダウン効果の高いフタルスリンなどは市販の蜂駆除用とされる殺虫剤でよく使用されています。

はちハンターオフィスサトウがオススメする蜂駆除用市販殺虫剤

近年では市販の蜂駆除用の殺虫剤も種類が豊富に販売されるようになりました。
その中からはちハンターオフィスサトウの佐藤が色々と使用してきた中で忖度なしにこれは使えると思った商品3つを独断と偏見でご紹介いたします。

駆除 第1位

スズメバチにも効く ハチ・アブ用ハンターZ PRO 510mL キンチョー KINCHO

これはすごいなと正直思いました。
これを書きたいがために作成した記事と言っても過言ではないくらい最近のお気に入りです。
1本あたり¥1,300近くするので決して安くないのですが、かなり頼りになるスプレーだと思います。
まず、成分ですがモンフルオロトリンというノックダウン効果に優れた成分が高濃度で配合されており、これがえげつないほど効果を発揮します。スプレーが直撃した蜂は飛び回ることなく落下し反撃されることも非常に少ないと感じます。
もうひとつの成分であるd-T80-レスメトリンは致死性に優れたピレスロイドのレスメトリンの強化版というべき成分で、ノックダウンしたあとは数秒で絶命するほどの強力な効果が期待できます。
噴射力もかなりのものなので小さな巣などは一瞬で駆除してしまうほどの瞬発力がありますが、それゆえに無くなるのも早めです。
なので一般の方は関係ない話なのですがプロはここぞという時に使用したい商品です。

コスパ 第1位

フマキラーAダブルジェット 450ml

コスパで言えばこちらのフマキラーAダブルジェット 450mlをおすすめします。
しかしながら一般の方が蜂の駆除に使うのであればこちらは正直やめたほうがいいです。
ハエ・蚊に最適化されているためか瞬発力が弱いのでこちらはあくまでプロ目線で見た話でコスパ1位とさせていただきました。
状況によって殺虫剤を使い分けるのでそういった意味ではとても重宝しています。
ちなみにどこのホームセンターでも大抵販売してます。

安全性 第1位

アース ハチアブマグナムジェット 550mL

こちらはみなさまよくご存知かと思いますが、バズーカ砲のような見た目でマーケティング上手だなぁと感心してしまいますが、まさにバズーカ砲のように強力な商品です。
最大の特徴はその飛距離で、遠くから巣を狙い撃ちできるので攻撃は最大の防御といいますか、安全性において第1位とさせていただきました。
ただ1本あたり¥1,500近くする上に無くなるのも早いので
プロが使用することはあまりないかなとは思いますが一般の方には非常に頼りになる商品かと思います。
ただとにかく臭い。人間でも逃げ出したくなるレベルで臭いです。
また似た商品でハチ・アブ・バズーカジェット、スズメバチバズーカジェットという商品がありますがモンフルオロトリン、フタルスリンなどの行動停止成分においてこのハチアブマグナムジェットが一番優れていると思い、安全性1位としました。

以上、はちハンターオフィスサトウがオススメする3商品でしたが、いかがだったでしょうか?
ただ市販のスプレーでも強力だからといって確実に駆除できるかどうかはまったくの別問題です。
いざ実際に駆除する時には想定外の事も起こり得るものですし、少しでも無理だと思ったらプロに依頼しましょう。

人体やペットに対してのリスクについて

ほとんどの殺虫剤において広く使用されているピレスロイド系殺虫剤の人体やペット(哺乳類)への影響についてはほとんど無害とされていますが、まったく何も害がないというわけではありません。
基本的には中枢神経に到達する前に代謝・分解され排出されるため影響はないのですが、過剰に吸い込んだり誤飲したりすることで嘔吐、悪心、呼吸困難などの症状や皮膚のかゆみや呼吸器系の症状などのアレルギー反応が見られることがあります。
かくいう私も屋根裏の密閉空間で振りまいた殺虫剤を大量に吸い込み、せきと喉の痛みに一時的でしたが見舞われた事があります。
ですから使用に際しては注意書きにもあるように必ず屋外で吸い込まないように使用するよう気をつけましょう。

またピレスロイド系の特筆すべき注意点としては魚毒性といって水性生物に対しての毒性が強いという点があり、
特に淡水魚に対しては1μg/L(マイクログラム)以下という非常に低濃度でも致死的な影響を及ぼす可能性があります。
なので水槽や池など水場の近くで使用する際にはスプレーがかからないよう保護するなど対策をして使用しましょう。

猫のペルメトリン中毒

ピレスロイド系殺虫剤の種類のひとつにペルメトリンというピレスロイドがありますが、このペルメトリンという成分が猫に対して中毒を起こすリスクがあります。
ペルメトリンは主に犬用のノミ・ダニ駆除剤に使用されており、それを飼い主が猫にも使用してしまったりすることで猫がグルーミングをすることでペルメトリンを摂取してしまい中毒症状を起こしてしまいます。
猫は犬と違いペルメトリンを分解することができず、嘔吐、痙攣などの神経症状や最悪の場合死に至るケースも報告されていますので使用には十分注意しましょう。
またペルメトリンはバルサンなどのくん煙剤の商品の一部(水を使用するバルサン)に使用されている事があり、ハチ駆除においても業務用と謳っている一部の商品で非常に高濃度のペルメトリンを使用しているものがあります。
実際のところ害虫駆除業者やハチ駆除業者においても全てのリスクを理解している方は少ないように感じます。
ですから私はその事について警鐘を鳴らしたいと思っています。
猫好きの私にとってはそういった知識のない駆除作業員が知らずにペルメトリン殺虫剤を猫を飼っているお宅で使用しまくらない事をただただ祈って止まないばかりです。